航空機の安全性は間違いなく重要事項である。航空、通信業界共通の課題を適切に軽減すれば、Cバンド5Gの展開は可能である。

 

 

航空機の機器に影響する可能性があることから、米国連邦航空局(FAA)が延期を要望したCバンドスペクトルを活用する5G展開をVerizonおよびAT&Tは当初拒否したものの、両社は2週間延期することに合意し、また、空港近辺での利用開始を6カ月延期することにも合意しました。

 

多くのケースで、次世代モバイルサービスのグローバルリーダーであるVerizonとAT&Tの5Gにおける成功は、Cバンドを含むミッドバンドスペクトルを活用した5Gの実装に大きく依存します。Cバンドは、より低いバンドのサブGHzスペクトルよりも容量が大きく、より高い周波のミリ波スペクトルよりも遠くまで伝搬することができます。よって、5Gの利用をサポートするために重要な、容量とカバー領域の最適なミックスを提供できます。VerizonおよびAT&Tは、全国を網羅するCバンドスペクトルを獲得するために、合わせて700億ドルを投資し、2022年のCバンドの利用開始を心待ちにしてきました。よって、両社にとって今回の延期要望のタイミングほど残念なことはないでしょう。

 

FAAの大きな懸念は、航空機の機器の1つである、高度を計測し着陸時にも使用する、無線を利用した高度計のスペクトルがCバンドに近いことです。高度計によっては、近いスペクトルの波を適切に除外するよう設計されていないため、特に空港近くで、主なCバンド5Gの信号が高度計に干渉する恐れがあり、これに対し、航空業界の複数の関係者も懸念を示しています。4200-4400MHz帯の潜在的なスプリアス発射による干渉を受けやすいことも懸念される原因です。しかし、FAAのSpecial Airworthiness Information Bulletinによると、国際的に無線ブロードバンドの運用による有害な干渉が証明された報告はまだありません。

 

以下はフロスト&サリバンが考える今後の動向です:

 

  • Cバンドの展開はこの短い延期の後開始される模様。

このため、空港、そして民間および軍の飛行区域周辺での無線信号の扱いに、さらなる配慮が必要になります。Cバンドの展開は、低帯域の3.7~3.8 GHzを展開する初期フェーズから実施されます。一方、無線高度計は主に4.2~4.4 GHz帯で運用します。世界の5G展開に使用される周波数および、妨害が生じないようどのように緩衝地域を設定するかに関する詳細の評価によって、米国がどのようにCバンド5Gを展開するかが分かるでしょう。

 

  • 電気通信業界および航空業界は、安全にかかわる可能性のある課題に協力して取り組まなければならない。

民間非営利団体であるRTCAによると、基地局、地上のユーザー機器、航空機内のユーザー機器などの5Gの放射源からの航空安全への影響を評価するためには、5Gシステムからの意図的な放射およびスプリアス発射の両方を考慮する必要があります。無線高度計に利用される無線周波環境への変化は避けることができません。よって、航空業界は、高度計の性能規準をアップデートする必要があるかもしれません。5Gの干渉から安全を守るため、新しい無線高度計のために最小運用性能規準(MOPS)のアップデートが近々完了するなか、課題は、認可された新しい無線機器を搭載した、改修された航空機でしょう。

 

  • Cバンド展開延期によりかかるコスト。

最大規模のサービスプロバイダーにとってのミッドバンドの重要性は、いくら強調してもし過ぎることはありません。企業および消費者セグメントにおける5Gの大きな可能性は、適切な容量とカバー領域で提供しなければ実現されません。そのためには、ミッドバンドのスペクトルは不可欠です。もう一つの課題は、サプライチェーン計画です。もし今ある問題を解決しなければ、ネットワーク構造計画、デバイスの上市、そしてサービス提供のためのネットワークプラットフォームの実装の全てに悪影響を与えるでしょう。

 

航空安全は間違いなく重要事項です。航空、通信業界に共通した課題を適切に軽減すれば、Cバンド5Gの展開が可能になります。しかし、最適な行動を取り航空管理の安全を確保するために、両業界が密な調整をする必要があります。安全に影響を及ぼす可能性のある問題の調査、無線サービスプロバイダーおよび航空機運用者に対する適切な運用ガイドラインの策定、無線機器のアップデート、無線高度計の監視および報告ガイドラインなど、複数のステップからなるアプローチにより、安全な航空管理がもたらされるでしょう。最後に、これも重要なことですが、干渉を最小限に抑えるために、搭乗者は機内に持ち込んだ電子機器に対する安全ガイドラインに継続して従わなければなりません。

 

トロイ・モーリー

フロスト&サリバンICT部門のシニアインダストリーアナリスト。トロイは、無線アクセスネットワーク(RAN)、転送ネットワーク、コア/エッジネットワークなどを含む、世界の5Gネットワークインフラ市場の分析をカバーする。数十年にわたる企業における、そして起業家としてのソフトウェアに関する経験から養われた、調査、データ解析、ビジネス、マネジメント、技術など複数のスキルを持つユニークなソフトウェア専門家である。

 

ヴィクラント・ガンディ

プロダクトマーケティング、調査、コンサルティングにおける14年の経験を持つ。140を超えるシンジケート市場調査およびコンサルティングプロジェクトを介してクライアントのニーズを支援してきた。特に、次世代電気通信の動向、テクノロジーおよび市場力学に関する評価、クライアントの市場参入戦略の策定および実行支援、新市場開発に関するクライアントへの継続的なインプット提供および戦略的理解の支援などに専門性を有する。

 

原文(英語)はこちら

 

弊社サービスに関するお問い合わせはこちら:https://frost.co.jp/inquiry/

         

X