フロスト&サリバンは、2022年のエネルギー&電力業界を方向づける主な動向および機会のランク付けを行いました。その中には、よりクリーンなエネルギーへの世界的なシフトにおいて重要度を増す水素の役割、引き続き不安定なガス価格、世界的なサプライチェーンに関する課題、炭素回収技術の推進、スマートエネルギーサービスの台頭などがあります。

 

 

  1. 世界のサプライチェーンの課題は継続

世界のサプライチェーンは2022年も崩壊したままでしょう。それにより新たな電力およびエネルギープロジェクトの開始が遅れ、急成長している風力および太陽光発電が最もその影響を受けるでしょう。中国のゼロコロナ政策におけるロックダウンにより、多くの主要部品製造において断続的にサプライチェーンが止まる可能性があります。世界の港の処理能力が大幅に制限され、引き続き輸送が遅れるでしょう。米中関係問題により引き続き、製造能力の他国への移転が進み、サプライチェーンの少なくとも一部を中国以外に移す、チャイナ+1の政策を採るメーカーが増えるでしょう。

(ジョナサン・ロビンソン、電力&エネルギー ディレクター)

 

  1. より不安定になるガス価格

比較的落ち着いた時期が続きましたが、天然ガス市場の不安定性が2021年下半期に戻ってきました。この状況は、根強い需要による価格の下げ止まり、ロシア・EU間、そしていくつかの要因ではそれに米国も関わっている地政学的緊張がトレーダーを神経質にさせており、2022年も継続するとみられます。価格上昇はLNG能力強化への投資につながる可能性があります。米国企業は輸出拡大、輸入企業は供給の選択肢の多様化に向けて投資をするためです。

(ルクレシア・ゴメス、電力&エネルギー ディレクター)

 

  1. 商業および工業分野における更なる分散化および脱炭素化

ネットゼロおよびサステナビリティはどちらも、発電およびエネルギー効率におけるクリーンで効率的なソリューションへの更なる投資を促進する重要な要因であり続けるでしょう。そしてこの動向は2022年に加速するでしょう。エネルギーコストの上昇により、化石燃料の利用削減のビジネスケースがさらに改善されるためです。この勢いは、エネルギーの80%が化石燃料由来である工業分野で特に強まるでしょう。今後10年で世界の70%の化石燃料炉が置き換わる計画であり、炭素排出の時代での停滞から抜け出すでしょう。

(ジョナサン・ロビンソン、電力&エネルギー ディレクター)

 

  1. 仮想発電所が分散化の基盤を強化

再生可能エネルギー源(RES)からの電力の増加、分散型エネルギー源(DER)、電気自動車および充電インフラの浸透により、電力網のロード管理が非常に困難になりました。そのため、ユーティリティセクターは、電力網の信頼性および弾力性を強化するために、仮想発電所(VPP)などの革新的な電力網管理手法を活用し始めました。2021年以降、VPPは、安定的な電力運用の重要な手段として、そしてピーク時に対応するための新たな発電能力の必要性を抑える手段として、その存在感を飛躍的に強めるでしょう。米国、日本、韓国、ドイツ、英国、豪州などの多くのユーティリティは、クリーンエネルギーへの変革の一部としてすでにVPPの導入を開始しました。フロスト&サリバンは、世界のVPPの市場規模が、2021年の565億米ドルから2030年までに3300億米ドルに達すると予測します。

(スワガス・マノハール、電力&エネルギー シニアアナリスト)

 

  1. エネルギーサービスの台頭

電気を商品として考える時代は終わりました。EV販売、住居のエネルギー貯蔵、分散型発電が拡大し続けるなか、より多くのユーティリティ企業とエネルギーの小売業者は、ロード管理、顧客の嗜好、新たな収益の流れの観点から、DERの価値をフルに活用するための新たなサービスを立ち上げています。世界中のより多くの企業が太陽光発電プラス貯蔵サービスや、スマートヒーティングエネルギー関連のサービスへ進出しようとしており、同時に、規制緩和された市場では、最も革新的な小売業者が100%カーボンニュートラルなエネルギーの提案、スマートEVの家庭での充電、V2Gサービスに注力しています。これらの新しいデジタルを活用したエネルギーサービスを開発、拡張するために、電気ユーティリティ企業およびエネルギー小売企業は、2022年にデジタルソリューションに40億ドルを超える投資を行うと、フロスト&サリバンは予測します。

(マリア・ベニンテンデ、電力&エネルギー プリンシパルアナリスト)

 

  1. デジタルグリッド分野における更なるM&A

去年、電力網設備のサプライヤーおよびエネルギー企業によるソフトウェアおよびデータ解析企業の複数の買収がありました。 三菱電機によるSmarter Grid Solutionsの買収、E.ONによるenvelio GmbHの買収、GE DigitalによるOpus One Solutionsの買収などです。電力網の近代化および強靭化支援のためにユーティリティ企業がデジタルソリューションに使う予算は増加し続け、エコシステムの企業も、エネルギー業界の過渡期に前進するために、強固な相互運用性を持つデジタルプラットフォームを開発することに更に注目しています。2022年、DER統合、グリッドプランニング、サイバーセキュリティ、アセット・配電網・停電管理といった分野で更なる買収が行われ、デジタルグリッド市場の統合が進むでしょう。

(マリア・ベニンテンデ、電力&エネルギー プリンシパルアナリスト)

 

  1. 水素市場の成長に終わりなし

2021年に最も注目された業界トピックであるグリーン水素への投資は2022年に加速するでしょう。天然ガスの価格上昇により、2021年のグリーン水素とグレー水素のコスト差は大きく低下したことは、グリーン水素を更に後押しし、2022年には技術革新によりその差は更に縮まるでしょう。コロナ後の経済回復を加速させるため、そして二酸化炭素排出を抑制するための中期的な取り組みとして、各国政府は水素政策を前向きに継続するでしょう。

(ジョナサン・ロビンソン、電力&エネルギー ディレクター)

 

  1. 石油&ガス企業による電力分野の囲い込みは継続

2021年下半期にコモディティ価格は上昇したかもしれません。しかし、石油&ガス会社がエネルギー会社へとリブランディングし、電力分野へ投資を継続する動きは変わらないでしょう。欧州に本社を置く企業は現在、技術と政策の観点から、エネルギー変革をリートしていると言って良いでしょう。しかし2022年には他の地域の企業がそのギャップを埋めるために動き始めるでしょう。電力、特に大規模な再生可能エネルギーのプロジェクトは、新たな投資が最も集まる分野であることは変わりませんが、グリーン水素プロジェクト、バッテリーおよび家庭用貯蔵ソリューション、電動モビリティ、柔軟な電力網を実現するサービスなどへも多額の投資が行われるでしょう。

(マリア・アグスティナ・デ・サリエラ、石油&ガス アナリスト)

 

  1. CCUS

CCUS市場は2022年、世界で50以上の開発が進んでおり、大幅に成長することが予測されます。セメント、鉄鋼、化学、肥料など、二酸化炭素を多く排出する産業は、経済成長と雇用創出に大きく貢献しており、これらに代わる産業はありません。CCUSは、経済的繁栄を維持しつつ、これらの高排出産業がゼロ排出に近い産業に変革するための支援となるでしょう。2022年、18.6 MptaのCCUS能力が新たに加わり、投資総額は18億ドルに達するでしょう。プロジェクトのリストを見ると、引き続き米国が市場をリードし、それに欧州、中国が続きます。CCUSプロジェクトのクラスター化は成長の大きな原動力となります。世界で20以上のCCUSクラスタープロジェクトが開発段階にあり、その一部は2022年終わりまでに稼働開始が見込まれます。

(マヘシュ・ラドハクリシュナン、石油&ガス シニアアナリスト)

 

ジョナサン・ロビンソン

フロスト&サリバン インダストリアル部門、グローバルエネルギープログラムリーダー

原文:https://www.frost.com/frost-perspectives/top-energy-power-trends-to-watch-in-2022/

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