デジタル化の推進とIoT技術の進化により、様々なセンサーがスマートシティに広く導入されている。昨今音響センサー、レーダーセンサー、ライダーセンサー、ミリ波レーダ等の新興技術及び従来の環境センサー、ガスセンサー、フローセンサー、湿度・温度センサーは、AI技術、エッジ、クラウドコンピューティング、高速通信システムと実装し、構築されるセンサーネットワークは、大量のデータ管理や設備稼働を行うなどの機能をもち、スマートシティのさらなる進化が期待される。


先端センサー技術の導入事例

スマートシティは、さまざまなセンサーや先端技術を導入し、インフラと人々の生活を効率的に管理・運営することで、生活の質を高め、安全かつ持続可能な環境の構築、経済発展等の目的とした新しい都市である。従来の温度、湿度、ガスセンサーなどを始め、音響センサー、ライダーセンサー、レーダーセンサー、3Dセマンティック・カメラが搭載され、各種の課題解決を図るとともに、快適性や利便性等の新たな価値が創出される。

  • センサーネットワークを活用し、路上駐車の制御、歩行者の流れの予測、交通渋滞の緩和に役立つ。
  • 建物全体の電力、空調、セキュリティ、各施設にセンサーを整備し、エネルギーの利用を最適化する。
  • 公共交通機関では、バス、ターミナル等にIoTシステムを整備することにより、運転士が最適なルートや走行速度に従い、最適な運行計画を実行する。
  • 地震や火山の噴火が起きやすい地域では、センサーネットワークの整備により、環境ハザードまたは自然災害の予測に役立つ。
  • 銃声や音響センサー、煙センサー等の導入により、消防士、警察、救急車による迅速な対応が実現。
  • 中央集中型監視システムはエラーが発生しやすいため、多数のスマートノードの採用により、全体の日常運用と管理を容易に実行する。

各社の技術動向

  • スペインのUrbiotica社は、U-soundという自律型のワイヤレス音響センサーを開発し、都心の騒音を測定し、測定された騒音レベルが設定したしきい値を超えた場合、警報が送信される。
  • イギリスのenLight社は、enSense音響センサーを提供し、enLightプラットフォームを介し、ガラスの割れる音、銃声、交通事故などの特定の周波数を検知する。
  • アメリカのIntel社は、街路照明のスマートセンサーノードの設置、スマートパーキングのソリューションの開発、公共Wi-Fiの提供に取り組んでいる。
  • スイスのSensirion社は、温度センサー、湿度センサー、ガスセンサー、流量センサー、二酸化炭素センサーなど多種類のセンサーをラインアップし、高い情報処理能力を構築する。
  • 韓国のBitsensing社は、レベル4とレベル5の自動運転技術向けに、精度の高い長距離、高解像度画像を生成できる車載イメージングレーダーを開発する。
  • 中国のRoboSense社は、最大200メートルの長検出距離を可能にする高精度のLiDAR RS-Rubyを提供する。
  • イギリスのTelensa社は、街路灯の電力測定を備えた中央制御型ソリューションを構築する。
  • 米国のClarity Movemen社は、大気汚染モニタリングを開発し、システム全体が数分以内に数百のデバイスへの接続と動作を実現する。
  • 米国のEnevo社は、超音波技術を利用し路上のゴミ箱の充填レベルと収集を検出するセンサーを開発し、廃棄物の管理に活用する。

センサーの活用により、新型コロナ感染拡大を防ぐ

ドバイでは、AI監視システムを利用し、ロックダウン中に無許可で自宅の敷地から出る市民を監視し、コロナ感染拡大を抑制する。また、同国はソーシャル・ディスタンスを検出できるような監視カメラも整備され、AI、ドローン、センサー、データ分析等の技術を用い、新型コロナウイルスの封じ込めに対策を講じる。

韓国は、スマートシティに整備されたAI処理搭載センサー、ライダーセンサー、レーダーセンサーを活用し、効果的に感染者を追跡することで、感染拡大を抑制できた。

世界各地の鉄道駅、ショッピングモールなどの施設に設置された3Dセマンティック・カメラ(イメージセンサーが内蔵)は、人の流れをセンチ単位で測定と追跡ができ、ソーシャルディスタンス、体温、マスク着用等の基準を設定し検出することで、公共施設での感染拡大に対処する。

スマートシティにおけるセンサー技術分野は、米国がリードしている

2017年1月から2020年6月まで、スマートシティ分野におけるセンサー技術は計9,000件以上の特許が出願され、世界的にみると増加し続ける傾向がある。米国は43%のシェアで先行し、中国とEUがそれに続く。韓国、オーストラリア、日本などのAPAC諸国でも多くの特許が出願されている。技術開発に取り組んでいる主要企業は、Samsung、Cisco、Intel、Qualcomm、IBM、Huaweiなどである。

センサーと革新技術の組み合わせによる新たな暮らし

様々な種類のセンサーの搭載により、街路照明の自動化、路上での事件検出、混雑要因となる事象の検知、自律走行ロボットの活用など、これまでにないサービスの創出は可能である。また、AI、ビッグデータ、エッジコンピューティングの整備により、地域全体の統合・連携制御により、社会の在り方を根本から変えるような革新的な暮らしを実現すると考える。

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