フロスト&サリバン モビリティ部門インダストリーアナリスト
林 更紗

 

先月東京ビックサイトにて自動車アフターマーケットの国際展示会である国際オートアフターマーケットEXPO2019が開催された。今回で17回目の開催となったこのイベントの規模は年々拡大傾向にあり、自動車産業におけるアフターマーケットに対する注目度の高まりを伺うことができる。自動車アフターマーケットは、自動車整備や補修部品などの販売、ロードサービスから保険まで多くのサービスによって構成されており、この市場における参入企業は自動車関連の企業などが主なものであった。弊社調査によると、2018年の補修部品市場規模は4,057億米ドルに達しており、2019年には約4%の市場成長が見込まれている。このように堅調な成長が見込まれている自動車アフターマーケットだが、自動車技術の発展により従来の市場の形態から大きく変化する可能性が高まっている。

 

近年の自動車には先進運転支援システム(ADAS)と呼ばれる次世代技術が搭載され始めており、当然ながらその機能に合わせてアフターサービスの形態の変化が懸念されている。最も顕著な変化の例として、自動車の安全運転アシスト機能や自動運転機能が普及することにより自動車同士の衝突事故数が減少し、板金作業などの車両修復サービスが大きく衰退するというケースが考えられる。一方で、自動車の高機能化により縮小するサービスもあれば新たに生まれるサービスもある。その一つが、先進車両に多数に取り付けられている高機能センサーやカメラの修理や校正を行うADASキャリブレーションサービスである。自動車のメンテナンスツールを製造、販売しているTEXA SpA(伊)は、複数の車種に適応したADASキャリブレーションキットの販売を既に販売している。

 

また、アフターサービスの種類の変化だけではなく、販売チャネルの点でも参入企業の構図に大きな変化がみられている。特筆すべきはAmazon(米)やAlibaba(中)などのeコマース企業である。これらの企業の強みであるグローバルかつ巨大なサプライチェーンを生かすことで、より多くの種類の自動車部品、サービスを早いタイミングで提供することができる。さらにAmazonはユーザーが保有する自動車に適合する部品等をスムーズに購入するために、拡張現実(AR)技術を利用した部品選定技術を開発している。これにはeコマースにおける課題である「実物を見ることができない」という障壁を取り除くことで、自動車アフターマーケットで勢力を拡大する狙いがある。

 

新車販売は都市部を中心に更なる縮小が見込まれる一方、電動化や自動運転、コネクティビティといった先進機能を持つ車両に対応した高度なアフターサービスが求められる。これは、これまで車齢の上昇とともに独立系の整備工場やカー用品店を利用していた顧客も、OEMのディーラーチャネルに再び回帰する可能性があることを示唆する。更にOEMはコネクテッドカーから取得したデータを活用した故障予知サービスや様々なデータビジネスを展開するとみられ、独立系チャネルは先進技術への対応とともに、eコマース企業と提携したオンライン修理予約など消費者の視点に立った新たなサービスを打ち出す必要があるだろう。

 

※本記事は、2019年4月28日付の日刊自動車新聞に掲載されたものです。

         

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