フロスト&サリバンジャパン株式会社
プレスリリース
2019年1月29日

 

フロスト&サリバンは、ASEANの主要自動車市場であるタイ、マレーシア及びインドネシアの2019年の自動車市場の見通しを発表しました。弊社の見通しでは、2019年の新車販売台数はいずれも成長する予測です。

 

■タイ:政府が注力するインフラ開発が商用車を中心に新車市場成長を促進する見込み

フロスト&サリバンの見通しでは、2019年のタイの新車販売台数(乗用車及び商用車)は、前年比5.5%増の110万7,800台に成長する予測です。2019年のタイ経済は、インフレ率の低下や金融緩和政策が消費者マインドの高まりや可処分所得の増加につながり、国内消費の増加が期待されることから、新車販売の拡大が見込まれます。

タイでは、2019年に建設や製造業およびサービス部門における民間投資の拡大が見込まれているほか、大規模なインフラ開発計画によって、公共投資の著しい増加が見込まれます。タイ政府が力を入れるバンコク東部でEV(電気自動車)や陸海空インフラなどを一体的に開発する構想「東部経済回廊(EEC)」や長期経済開発計画「Thailand 4.0」、タイ高速鉄道計画といった大規模なインフラプロジェクトは、ピックアップトラック及び商用車を中心に新車販売台数を促進することが見込まれます。

また、2019年にはホンダの『アコード』、BMWの7世代目『3シリーズ セダン』、シボレーの『トレイルブレイザー』や『Chevy S10』といった新型車の販売が予定されており、乗用車市場の成長が見込まれます。くわえて、2018年後半に販売が開始されたトヨタの『カムリ』やホンダの『シビック』のフェイスリフトといった主要なモデルは、2019年の新車販売の拡大をけん引することが見込まれます。

一方で、米国の金利上昇に伴うタイバーツの値下がりや米中の貿易摩擦が、特に輸出中心型の自動車産業にマイナスの影響を及ぼす懸念もあります。

 

■インドネシア:政府投資で新車需要拡大の一方、米中貿易摩擦が自動車産業に影響の懸念も

弊社の見通しでは、インドネシアの2019年の新車販売代台数(乗用車および商用車)は、前年比4.2%増の119万2,700台に成長する予測です。2019年4月のインドネシア大統領選を目前にした政府支出の大幅な拡大や、穏やかなインフレ率、労働市場の活発化によって、消費者マインドの向上や国内消費の増加が2019年に見込まれることから、新車販売の増加が予測されます。

インドネシア政府は税制上の優遇措置や規制緩和を通じて民間投資の拡大に向けた取り組みを行うほか、道路や鉄道、橋や空港といった主要なインフラ開発計画に向けた政府支出を今後拡大する意向を示しています。これに伴い、インフラセクターや製造業を中心に民間投資の増加が2019年に見込まれ、商用車を中心に新車需要の拡大が予測されます。

2019年にはスポーツ用多目的車(SUV)を中心に主要な新型車やフェイスリフト、バリアントの販売開始が予定されており、乗用車市場の成長拡大が見込まれます。2019年に販売開始予定の主要な新モデルには、ウーリン(Wulling)の『アルマズ』、ホンダの『WR‐V』、スズキの『ビターラ・ブレッツァ』、トヨタの『アバンザ』、日産の『キックス』やキアモーターズの『ピカント』などが挙げられます。また、2018年の下半期にリリースされた人気モデルの製造・供給が昨年内は限定的だったため、2019年にこれらのモデルによる乗用車の需要拡大も見込まれます。

この様な成長が見込まれる一方で、米中の貿易摩擦や米金利政策の引き締め、高い金利が2019年のインドネシア経済にマイナスの影響をもたらす可能性もあります。特にインドネシアの主要な貿易パートナーである米中の貿易摩擦が、輸出依存型の自動車市場にマイナスの影響をもたらす懸念も挙げられます。

 

■マレーシア:安定した経済成長や新型車販売で新車市場は微増の見通し

弊社の予測では、2019年のマレーシアの新車販売台数(乗用車及び商用車)は、前年比1.4%増の60万9,700台に微増の見通しです。2019年の金利は安定し、穏やかなインフレ率と好調な経済が見込まれ、賃金上昇に伴う労働市場の活性化によって、可処分所得の増加や消費者マインドの高まりが期待されます。これに伴い、国内消費の増加や民間投資の拡大が新車販売台数を促進することが見込まれます。

また2019年にはプロドゥアの『アルズ』やトヨタの『ヤリス』といった魅力的な新型車の販売が予定されており、これら新型車の販売開始が新車市場の成長につながる見通しです。くわえて、2018年の第四四半期にリリースされたプロトンの『X70』は好調な販売が期待され、2019年の自動車市場の成長を促進することが見込まれます。

「マレーシアでは乗用車が新車販売台数の80%以上を占めており、乗用車市場はとりわけ価格に敏感でマクロ経済指標の変動が大きく影響を受けるでしょう。また、商用車市場については、新規インフラ開発計画が高い需要を刺激するでしょう」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門インダストリーアナリストの林更紗は話します。

この様な好調な見通しの一方で、米金利引き上げに伴う通貨リンギット安や公共インフラへの支出の減少が、2019年の自動車販売を抑制することも予測されます。また、賃金の上昇が見込まれるものの、高い家計負債による消費の抑制によって相殺される見通しです。

 

▽フロスト&サリバンのモビリティ部門リサーチ一覧はこちら:
https://www.frost.co.jp/industries/automotive/title2018/

 

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