【プレスリリース】
2019年12月4日
フロスト&サリバン株式会社
アソシエイトディレクター
リー・クァー メイ

 

日本では国民の支払方法に変化が起きている。技術的に進歩している国にも関わらず、現金支払いへの依存は長年に渡って続いている。支払取引の約75%は依然として現金で決済されており、毎年7.7兆円(700億米ドル)を超える。

 

デジタル支払い(キャッシュレス)を採用する必要がないことが長年の問題要因で、日本の盗難率は低く、2016年には10万人あたり356.2件に過ぎない。自動販売機ほとんどの街にあり、ATMの急増により、一定の現金供給を必要性に応じて対処すら出来てしまうのが現状だ。これらの条件により、現金支払方法が主流の為、キャッシュレスサービス業界が付加価値を提供できない。

 

  • キャッシュレスが急速に進む
  • スウェーデンはお店での現金精算が20%以下。
  • Frost&Sullivanの調査によると、中国のモバイル決済市場は3倍の成長が見込まれ、モバイル決済ユーザーは2023年までに2倍になる見込み。
  • アジアパシフィックではeWalletsの受け入れは地域とパートナーシップを通じて急速に成長している。
  • 5G(第5世代移動通信システム)により支払方法に大きな変化を生み、消費者と企業間の相互の問題も解決してゆくだろう

日本の高齢者は人口の約30%を占めており、高齢者や中小企業の間では、デジタル支払いの採用に消極的だ。高齢者の資産の半分以上は現金と預金といった、現金主流で予算編成をしている。一方、多くの中小企業は日々の現金収入を中心に事業を運営していて、デジタル決済サービスの処理手数料により利益率に与える影響を懸念しているのが現状だ。

しかしながら、日本がキャッシュレスを採用する事を必然的にしなくてはいけない方向に向かっている。
高齢化が進み人口が減少している中で、労働力不足に直面している業界内のニーズに対処するためにはキャッシュレス化の採用が重要になる。成長には試練が不可欠である。

世界的な景気減速と消費税引き上げにより、日本経済学者たちは、日本の成長が危ういと悲観的な予測をしているが、2020年の東京オリンピックは地元企業が外国人観光客の出費により経済を活性化させる良い機会だとも考えている。

オリンピックは、キャッシュレスシステムの大規模な試運転の場、およびプロモーションの場として実績がある。例えば、英国で2012年のロンドンオリンピック後、英国の非接触型決済の取引額は、2014年の3,278億円(23.2億ポンド)から2016年には3.5316兆円(250億ポンド)に上昇している。ブラジルでは2016年のブラジルオリンピック後に取り入れられたデジタルチャンネルシステムにより1200件ものATMを閉鎖しているが現実だ。
効率的で、なおかつ発展に必要な構造が整えば、東京オリンピックをきっかけに日本でのキャッシュレスの採用が進むのではないだろうか。今後日本でのキャッシュレス化を40%に引き上げるという日本政府の2025年の目標に手が届くかもしれない。
変化に必要とされるのは、支払い業者側のニーズに対する開発と、日本をキャッシュレス社会へと導く為の日本人(特に高齢者)の対応能力がカギとなっていくだろう。

 

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