戦略的パートナーシップとインテリジェント・テクノロジーは、新しいシェアード・モビリティのエコシステムが形成される上で極めて重要です。


 

中国のライドヘイリング(自動車による送迎サービス)の巨人、Didi(ディディ)Globalは先日、中国の新エネルギー自動車メーカーと提携し、2025年までにロボタクシーを開発して自社車両として配備する予定であると発表しました。これはロボットタクシーに関する話題ですが、これはシェアードモビリティが脚光を浴びている多くの事例のひとつに過ぎません。

総合的、複合的、持続可能な交通ネットワークへの取り組み強化と並行して、個人的な運搬からの脱却が進んでおり、シェアードモビリティ市場を後押ししています。この動きは、顧客の期待値の上昇と、それに応える多くのテクノロジーによって支えられています。こうした背景から、2023年にはライドヘイリング部門が推進力となり、シェアードモビリティ市場の流通取引総額は1兆ドルを超えると予想されています。

シェアードモビリティサービスの成熟度の高まりは、事業者が安定した収益性の実現に近づいていることを意味します。この転換の支点はテクノロジーであり、スタートアップ企業やテクノロジー企業がその最前線に立つことになるでしょう。

カーシェアリングやライドヘイリング車両における電気自動車(EV)の普及の加速がシェアードモビリティ市場の変革をリードし、OEMとシェアードモビリティ事業者のパートナーシップの深化により強化されます。

モビリティの様式と、需要のダイナミックな変化により、従来の公共交通事業者と新しいモビリティサービスプロバイダーが、協力体制を強化する必要性が併せて強調されるでしょう。

 

持続可能性の課題、都市からの働きかけ、新技術の融合が市場発展を促進する

カーフリーシティ、総合複合交通システム、積極的なカーシェアリング政策から、駐車料金の優遇、インフラ整備の支援、EVの共有車両への統合まで、都市はシェアモビリティの利用を積極的に推進する上で極めて重要な役割を果たしています。シェアモビリティ車両における電動化または代替燃料への切り替えは、2023年に大きな影響を与えるトレンドとなり、都市が提唱する持続可能性の課題に沿ったものとなると予想されます。

 

 

自律型シェアモビリティは従来の自動車エコシステムを破壊するため、部品メーカーや企業は戦略的に技術力の再調整と強化を迫られます。フロスト&サリバンは、自律走行シャトル市場はその多様な用途と発展段階から、ロボットタクシー市場よりも早く発展すると予想しています。

自律走行シャトル分野は急速に発展し、新たな業種に浸透し、さまざまなサードパーティソリューションを展開すると考えられます。試験調査段階から得られたインサイトが、実環境でレベル4の自律走行が可能で経済的な次世代シャトルを設計するために活用されるでしょう。

競争という観点からは、参加企業が大規模経済圏の実現に向かって努力することで、マイクロモビリティシェアリングなどの細分化されたセグメントにおいて統合が進むでしょう。統合は参加者の減少によっても起こり、より収益性の高い分野に注力するため、市場からの撤退が相次ぐと予想されます。

競争という観点からは、参加企業が大規模経済圏の実現に向かって努力することで、マイクロモビリティシェアリングなどの細分化されたセグメントにおいて統合が進むでしょう。統合は参加者の減少によっても起こり、より収益性の高い分野に注力するため、市場からの撤退が相次ぐと予想されます。

コネクティビティ、機械学習、人工知能ベースのテクノロジーは、オペレーターがシームレスで効果的な車両データ管理、ワークフローの自動化、セキュリティ強化を実現するための強力なツールとして登場すると考えられます。

 

 

安全上の懸念からキックスクーター禁止の危機が迫っており、それに対処するためにもこれらのテクノロジーは極めて重要です。各都市がキックスクーターの安全基準を義務付けているため、運転行動のより永続的な変化を確保するためのサポートインフラが構築されるのと同時に、製造段階でも技術による変化が実施されることになるでしょう。

デマンド・レスポンシブ・トランジット(DRT)は公共交通の支柱であり、2022年には世界で100以上のB2G DRTプロジェクトが開始されました。農村部でのDRT導入の増加は、サービスが不十分である農村部の交通ニーズを満たす必要性を反映しており、この流れは2023年も続くとみられます。

 

戦略的パートナーシップとビジネスモデルの多様化がカギに

新たなエコシステムの発展には、戦略的パートナーシップとサービスの多様化が欠かせません。自動車業界やテクノロジー業界の関係者、市当局や政府の政策立案者、シェアードモビリティサービスプロバイダーとOEMや公共交通機関の管理者といったステークホルダー間の協力が、新たなビジネスモデルを生み出すでしょう。

新たな成長機会を捉えるために、シェアードモビリティ分野に携わる者は中核となる技術的コンピテンシー(優秀な成果を発揮する行動特性)を強化すべきでしょう。シェアードモビリティ事業者は、補完的な専門知識を持つ技術パートナーを特定することで車両の効率性と収益性を高めることができます。一方、公共交通機関と民間モビリティ事業者間のデータ共有は、サービスとしてのモビリティ(MaaS)の普及の推進力となる統合ソリューションを生み出す可能性があります。

テクノロジーによる破壊的革新が進む中、自動車業界とテクノロジー業界はパートナーシップを深め、シェアードモビリティがもたらすチャンスを最大限に活かすことのできる新たなビジネスモデルを設計すべきです。同時に、車両オペレーターは、よりスマートかつ安全で、持続可能な輸送の実現に取り組むべきでしょう。