エネルギー分野

循環型経済への移行による、GCC各国内の廃棄物処理分野の成長の可能性に関して

 

 

Regional plans to achieve self-sufficiency and in-country local value addition creating growth opportunities

 

国内市場での自給自足による価値付加に向けた、新たな成長機会をもたらすローカルプランとは

 

 

現在、世界のあらゆる地域において、各国の政府と企業は、持続可能な成長を目的に、循環型経済モデルへの転換を目指した新たな技術の開発に力を注いでいます。循環型経済モデルとは、原材料、製品、システム、そしてビジネスそのもののデザインを改良していくことにより、資源を有効活用し、資源の無駄をできる限り無くしていくことを目指す経済モデルです。循環型経済モデルを目指す組織が大きければ大きいほど、サプライチェーンの中での安定性、そして効率性は大きく増していきます。またこういった動きは、経済全体と環境の両方に大きな貢献をもたらします。GCCGulf Cooperation Council: 湾岸協力理事会 / サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートによる地域協力機構)は、こういった循環型経済モデルに対して大きな可能性を秘めているエリアです。なぜなら、GCC所属の各国は、過去から綿々と続いてきた資源浪費型経済モデルによって、循環型経済モデルとは全く逆の結果をいまだに生み出して続けてしまっているからです。この状況の中、GCC諸国が循環型経済モデルを採用していけば、各国政府の目的でもある、持続可能な成長が、しっかりともたらされていくことでしょう。

 

そんな中、GCC各国の地方自治体による廃棄物処理問題が、世間からの大きな関心を集めています。2019年時点で128 Mn MTだったGCC諸国全体での廃棄物の総量は、2025年には年間 164 Mn MTにまで膨れ上がることが予想されており、現在の埋め立てを主とした廃棄物処理戦略では、この急激な廃棄物の増加を処理する事はできません。廃棄物処理の新たなメカニズムが求められているのです。

 

GCC諸国における廃棄物処理過程での最大のギャップは、廃棄物の分別問題です。GCC諸国では、適切な廃棄物の分別を行っておらず、単純に効率的な廃棄物収集と搬送だけを行っているのが現状です。

 

フロスト&サリバン社では、今後GCC諸国が、リサイクルといった「廃棄物の資源化」過程の導入によって、より計画化された廃棄物処理過程に移行していくであろうと予測しており、実際、既に最近での廃棄物処理問題に対する、GCC各国、そしてより広範囲での中東・北アフリカ地区からの申し出には、そのような「廃棄物の資源化」に関する記述が含まれているのです。しかしながら、こういった動きは、廃棄物の収集と運搬しか行っていない現在の廃棄物処理業界に大きな打撃をもたらす事は確かです。また加えて、廃棄物の分別をしっかりと行っていくための努力が、資源および原材料化施設の双方に求められてくるでしょう。しかしながら、そういった混乱によって、廃棄物の分別・リサイクル・処理・エネルギー資源化を行う企業の、サービス、技術、そして設備投資に、新たな成長の機会が訪れる事も確かな事なのです。その成長機会は、廃棄物処理設備に限られたものではありません。ボイラーや焼却炉、排煙装置などといった設備需要の計画的な増加により、エネルギー設備や汚染除去設備などにも新たな成長の機会をもたらすことが十分考えられるのです。

 

廃棄物処理企業には、今後、技術開発、パートナーシップ、技術供与といった面で、大きな努力が求められることでしょう。

 

フロスト&サリバン社では、GCC諸国の地方自治体が基準となって進めていくであろうこの廃棄物処理の成功モデルケースによって、GCC諸国の地方自治体が中東地域における廃棄物処理を加速させるためののリードを取っていくであろうと予測しており、こういった事例でのラーニングが、他国での処理にも使われていくであろうと考えています。これにより、廃棄物処理の技術開発も加速され、廃棄物処理の分野で、IIOT (= Industrial Internet of Things / 産業界におけるIoT)が進行していくでしょうし、スマートゴミ箱、ドローン、そしてAIによるデータ分析などの技術が、リサイクルと効率性の改善を目的としたこの長期的視野での廃棄物処理のバリューチェーンの進行によって加速されるであろうと予想しています。

 

 

報告書内での主要ポイント

 – 循環型経済における成長機会とは何か?

 – 企業の成長を導く最大のマーケットトレンドとは?

 – 廃棄物処理におけるデジタル上のトレンドはとは何か?

 – GCC諸国の廃棄物処理市場での、現在のキープレイヤーは?

 – 成長機会から導き出される廃棄物処理会社へのベネフィットとは?

 

著者: Nideshna Varatharajan