フロスト&サリバン ジャパン株式会社
プレスリリース
2018年4月10日
フロスト&サリバンは、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内で今後成長が期待されるベトナム及びフィリピンの2018年の自動車市場の見通しをまとめました。弊社の予測では、好調な経済の見通しや自動車産業支援政策などによって、2018年のベトナム及びフィリピンの自動車市場は成長を見込んでいます。
■ ベトナム:2018年の新車販売台数、前年比+6.8%の25万6,000台に成長の見通し
フロスト&サリバンの予測では、2018年のベトナムの新車販売台数(乗用車及び商用車)は前年比6.8%増の25万6,191台に成長する見通しです。国内消費の拡大や、エレクトロニクスや衣料品などの輸出拡大などにより、ベトナム経済全体は今後5年間で6~7%の成長が見込まれ、2018年の自動車産業の成長にもプラスの影響を与えると見られます。ベトナムの四輪車の所有率は現状で人口1,000人当たり約20台程度に留まることから、国内自動車市場は大きな成長の可能性を秘めており、中所得者層の消費志向の高まりによる新車販売台数の促進が期待されます。
環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)による乗用車に対する段階的な関税撤廃や、「政令125号」による自動車の現地生産奨励に向けた自動車部品の関税引き下げにより、国内自動車市場の活性化が期待されます。また、道路交通に重点を置いたインフラ開発プロジェクトや、2019年からの導入が計画される付加価値税(VAT)、消費税および環境保護税の税率引き上げを定めた税制改革も、商用車の需要を促進することが予想されます。
その一方で、ベトナム政府公布の「政令116号」は完成車輸入に他国政府発行の認可証取得を義務付け、これにより自動車輸入が制限されることから、2018年の新車売上を抑制する主な要因となる見通しです。「政令116号は自動車市場に不透明な見通しをもたらしますが、消費者信用の伸びや現地生産モデルの需要増加によって、2018年は自動車市場全体でプラス成長が見込まれるでしょう」と、フロスト&サリバンのモビリティ部門シニアコンサルタント、パウロ・ホセ・ムトゥクは話します。
■ フィリピン:2018年の新車販売台数、前年比+11.5%の57万6,000台に成長の見通し
フロスト&サリバンの予測では、2018年のフィリピンの新車販売台数(乗用車及び商用車)は前年比11.5%増の57万6,959台に成長する見通しです。2018年のフィリピン経済全体は、消費者支出や投資によって今後5年にかけて6~7%の成長が見込まれており、好調な経済成長による新車売上の促進が期待されます。フィリピン国内の製造業は2010年から7%を超える成長を続けており、トヨタ自動車及び三菱自動車の現地法人が参画する自動車産業振興策「自動車産業再生(CARS)プログラム」を通じた現地生産の拡大によって、新車販売台数の増加が見込まれます。2018年に予定される新型モデルの発売も、自動車市場の成長を後押しすることが期待されます。
また、2018年の商用車市場は、フィリピン政府が策定した交通政策によって成長が見込まれます。政府が提案する公共事業車両(PUV)近代化プログラムによって、欧州連合(EU)の排ガス基準「ユーロ4」への対応が義務付けられることから、例えば、フィリピン式乗り合いバス「ジープニー」およそ20万台における対応エンジン車への買い換え需要が生み出されると見ています。フィリピン政府策定のインフラ開発プラン「Build Build Build」の重要プロジェクト75のうち61が自動車・交通セクターに関連しており、商用車の需要をさらに刺激することが期待されます。
その一方で、フィリピンの陸運交通許認可規制委員会(LTFRB)は、ライドシェアリングサービスにおける小型車(スモールセダン及びコンパクトカー)の使用を禁じる規定を定め、これらの車種の需要が減少する可能性もあります。2017年12月に承認された税制改革「RA 10963」に伴う新税制は、自動車価格だけでなく、燃料価格や他の物品価格の値上げを引き起こす懸念があります。「新税制はエントリーレベルのモデルの価格を引き上げる一方で、ピックアップトラックは除外されるほか、個人所得税も引き下げられるため、全体での新車販売台数の減少は起こらないでしょう」とパウロ・ホセ・ムトゥクは話します。
■ フロスト&サリバン モビリティ業界のリサーチタイトルとサマリー(一部)を日本語にてご紹介しています:
https://www.frost.co.jp/industries/automotive/
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